10-10-19 忙しい人のための「アルジャーノンに花束を/ダニエル・キース」

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知的障害者「チャーリイ(32さい・おとこのこ)」の話。
チャーリイはパン屋で働きながら(主に雑用)、ある大学の傍らにある養護学校に通う、
誰にでも親切であろうとする、大きな体に小さな子供の心を持った、素直な青年だった。
ストラウス教授は、勉強熱心な彼に「頭のよくなる脳手術」を受けるようにすすめた。
すでにネズミの「アルジャーノン」で動物実験を成功させており、人間に対して初めて行われたのが、チャーリイへの手術だった。

本の内容としては、チャーリイが手術後、どのように知力・思考力が発達してゆくのか、その過程を学会で発表するために博士がチャーリイに書かせた「経過報告(チャーリイが自分で書いた日記のような文章)」になっている。
※ハッキリと覚えてないので、大体の流れで紹介しています。


「だい1けえかほおこく」より
ネズミの「アルジャーノン」にできた迷路が、チャーリイにはできなかった。
「ねずみがあんなにあたまいいとわしらなかた。」

「だい2けえかほおこく」より
カードに書かれた模様から、自分で何かを連想し、それについて話してください。
「いんくのよごれおみてはなしおするなんてできない」
「みえてもいないもののはなしなんてしたくないのです。ぼくわうそおつきたくないのです」
連想テストの意味さえ理解できていない。
「想像すること」を「嘘をつくこと」としか捕らえられない。純粋だなあ。

「けいかほうこく3」より
「ぼくのあたまがよくなてパンやのみんなはよろこんでくれるだろう。」
「みんなぼくのことがすきなのです。」
「パンやのみんなでおさけをのみにいたかいりみち チャーリイあめがふつているかみてきてといわれたのでみにいたら みんながいなくなてた みんなぼくおしんぱいしてさがしているんだろう」
ちょ、チャーリイ、ちょ、それ。いじめられとんど。

「経過報告4」より
「はかせに、てんを、おしえて、もらった、てんが、あれば、文章が、よみやすく、なって、いいことだ、」
はげし、く、読み、にく、い、なあ、

「経過報告7」より

「パン屋で一緒に働いているジンピイが、4ドルのパンを馴染みの客に売り、3ドル受け取ると、2ドルをレジに、1ドルを自分のポケットにしまいこんだ。」
「ジンピイにも生活がある。このことがバレて、この店をクビになったらかわいそうだ。しかし、このまま店長をだますことも心苦しい。」
人間の汚い部分を見てしまうチャーリイ。でも思いやる心もある。

手術は成功し、チャーリイのIQは68から185まで上昇。
何ヶ国語も理解できる天才となった。
「経過報告8」より
「助手のキニアン先生が、美人だったことを今まで気づかなかった。」
「彼女はとてもやさしく、あたまもよい。」
恋もするチャーリイ。

しかし頭が良くなるにつれ、
これまで友達だと信じていた仕事仲間にいじめられていたこと、母親に捨てられたことなど、
昔の思い出が鮮明によみがえり、知りたくもない事実を理解するようになる・・・

まだ、英語に翻訳されてもいない学術書籍を読み漁っていた彼は、
最先端であるはずの世界的に有名な学者の知識すら超えようとしていた。
今まで、憧れていた、尊敬していた偉人たちと自分との知能の差に愕然とする。
「経過報告10」より
「彼らがほんの3ヶ国語すら理解できないなんて信じられない。」
「まるで、知ったかぶりのようだ。」
次第に自尊心が高まり、知らず知らず他人を見下すようになっていく。

頭が切れ、仕事をどんどんとこなす彼を煙たがる同僚の嫌がらせもあり、
パン屋をクビになってしまう。
「僕は、誰かにほめてほしいわけではない。ただずっとこのパン屋で働いていたいのだ。」
「誰の迷惑にもならないように静かに働くから、どうか私を解雇しないでほしい。」
「できない人間は、できる人間をひがむ。彼らにそんな権利はあるのか!」

周囲の人間が遠ざかっていき、
チャーリイは手術前には抱いたことも無い孤独感を抱く。
あの心優しかったキニアン先生ですら、チャーリイを避けるようになってしまった。
「あなたと話をすると、無知な自分がどんどんと惨めに感じるの。」
チャーリイの「心」は未発達な幼児のままだった。

そんなある日、アルジャーノンに異変が起こる。
いつもの迷路のゴールにたどり着けず、壁にぶつかってばかりいる。
チャーリイはアルジャーノンの異変について
調査を始め、手術に大きな欠陥があった事を突き止めてしまう。

手術は一時的に知能を発達させるものの、
ピークに達した知能は、その上昇速度よりもさらに速いスピードで後退して行く。

そしてアルジャーノンは死んでしまう。

チャーリイの知力もどんどんと低下していく。
経過報告には、自分の知力が崩壊して行く恐怖がなまなましく綴られていた。
そしてチャーリイは、ついに元の知能以下の知的障害者になってしまう。
彼は最後に、経過報告書を読むであろう大学教授に向けたメッセージとして、
薄れてゆく知力を精一杯振り絞り、最後の「けえかほうこく19」を書く。

ついしん。どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやてください。

おしまい。




最後の「ついしん」を読んでじ~んとくるために、ながながと前フリがあるようなものらしい。
ほんとに長い本だった。
幸せとは何か?頭がよく、仕事ができる人が必ずしも幸せか?
知的障害を持つ人は、健常者より幸せにはなれないのか?
そんなテーマなのかな?
チャーリイは知的障害者に戻ったが、パン屋で再び働きだした。
天才であったときよりもずっと幸せに暮らしているんだろね。
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by tnalbmes | 2010-10-19 23:39 | diary100


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